こんにちは、株式会社EXIDEAでUIUXデザイナーを務めるしょうごです。
このコンテンツではデザイナーはもちろん、デザイナー職以外の皆さんも明日から仕事で応用できそうな「行動心理学」、「認知心理学」に基づいた人の様々な心理現象や認知の法則をお伝えしていきます。
第4回目は「デザインの改悪がUXの改善を生む」というお話です。
(この現象には名前がついていないようです。)
これはUX界隈では有名な話なので、聞いたことがある方も多いと思います。
とある空港で
「手荷物がレーンから全然出てこなくてイライラします^^」
というクレームがめちゃくちゃ多かったことに対し、
「うーーーん…お客さんは待つのが苦手みたい…でも荷物はこれ以上早く出せないし……せや!!飛行機から降りたら一番遠い受取所まで歩かせて時間稼ぎすればええんや!これでレーンの前で待たなくて済むで!」
と思いつき、今までの数倍多く歩かせる導線にしたところ、本クレームが激減したというものです。
ポイントとして、この改善案を実行する前でも後でも、荷物を受け取れるまでの時間は変わっていません。
参照:http://blog.livedoor.jp/lunarmodule7/archives/3675720.html
これがUIの観点(レーンまでの距離)で見ると余計に歩かされるという改悪になっているはずなのにUXは改善したという例です。
このクレームは一見、「荷物をもっと早く出してほしい!」と解釈されてしまいそうですが、「実はお客さんは棒立ちで待つのが嫌なだけだった。なにか別のことをさせていれば自分のイライラに気づかない。」という本質を見抜いた改善といえます。
身近な例では、「エレベーターの鏡」も同じ原理で取り付けられているという説があります。(諸説あり)
昨今のSaaSプロダクトでも、以下のような手法で「ユーザーの待機時間」を減らす努力を行なっています。
弊社が提供する「Emmatools」でも、エラー画面での猫による癒し効果や段階ローディングの実装により、ユーザへの心理的負担を少しでも減らそうとする工夫を行なっています。
サービスのUXを向上させようとする場合、基本的にはより美しいUIに変更すればOKなことも多いです。
が、ユーザーが置かれている状況、不満に感じている文脈をちゃんと分析すると必ずしも「良いUI=良いUX」というわけではないということをこのお話は教えてくれています。
なんのためにUX活動をしているのかわからなくなった時、思い出したいお話しです。